こんにちは。Webライターの森です。
このたび、年末年始に開催されたAtsueigoプレゼンツ「英単語帳 Distinction チャレンジ」に挑戦してみました。簡単に言うと、この企画は「油断しがちな連休中に英単語帳を周回しまくろう」というものです(詳細は本家のこちらから)。
周回した単語帳は『Distinction I, II, III』。ネイティブがよく使う表現を厳選した3冊(それぞれ400語収録)です。
私が挑戦したのは14日間で『Distinction』3冊を7周するプランでした。1日あたり600語、最終的に8400語の量をこなすチャレンジです。
本記事では、そんなDistinctionチャレンジの学習結果をまとめてみました。
決められたルールの範囲内で自分なりに工夫して実践してみたので、今後この企画にチャレンジする方にとって参考になれば幸いです。
さきに結果を述べると、上記のプランで定着率「42%から99%へ」大幅アップしました!!!
2023/2/20 追記:1年間の総集編もアップ!
準備とビフォーアフター
まずは「チャレンジ前に準備したこと」と「最終的な学習成果(定着率)」についてまとめます。
準備の方は少し複雑なので、チャレンジの結果や感想を知りたい人は「定着率ビフォーアフター」からお読みください。
始まる前に準備したこと
初参戦ということで、チャレンジの効果を最大化すべくガッツリ下準備を行ないました。
大きく分けると「なかだるみに対処するシステム作り」と「確認テストの項目選び」の2つです。
以下、それぞれ詳しく書いていきます。
なかだるみ対策
冒頭でも触れましたが、取り組む範囲は1日に600語と膨大でした。
それでも一定の時間内でしっかり集中したかったので、多少のなかだるみや疲労感があっても学習の質を落とさないようなシステムを作りました。
簡単に言うと「範囲を細かく区切ってスタート地点をずらす」という工夫です。
具体的な作業手順は以下のようになります。
- 前半と後半にグループ分け
- それぞれのグループを7分割
- ラテン方格で7周分の順番決め
手順1については、下表のように対象の1200語をスパッと600語ずつに分けただけです。
前半の600語 | 後半の600語 |
---|---|
Distinction I 001-400 & Distinction II 001-200 | Distinction II 201-400 & Distinction III 001-400 |
便宜上、ここからは前半をグループA、後半をグループBと呼びます。
続いて手順2です。
両グループの600語を7つのセクションに分割しました(下表)。
グループAの600語 | グループBの600語 | |
---|---|---|
セクション1(84語) | I の 001-084 | II の 201-284 |
セクション2(88語) | I の 085-172 | II の 285-372 |
セクション3(84語) | I の 173-256 | II の 373-400 III の 001-056 |
セクション4(88語) | I の 257-344 | III の 057-144 |
セクション5(84語) | I の 345-400 II の 001-028 | III の 145-228 |
セクション6(88語) | II の 029-116 | III の 229-316 |
セクション7(84語) | II の 117-200 | III の 317-400 |
最後に手順3です。
7つに分けたセクションをもとに、両グループ7周分の順番を決めました(下表)。
なお、順番決めには「ラテン方格」という手法を使いました。ラテン方格は心理学の実験デザインなどでよく使われる配置決めのテクニックです。
日程 | 取り組む順番 |
---|---|
12/25(Aの1周目) | A 1→2→3→4→5→6→7 |
12/26(Bの1周目) | B 1→2→3→4→5→6→7 |
12/27(Aの2周目) | A 7→1→2→3→4→5→6 |
12/28(Bの2周目) | B 7→1→2→3→4→5→6 |
12/29(Aの3周目) | A 6→7→1→2→3→4→5 |
12/30(Bの3周目) | B 6→7→1→2→3→4→5 |
12/31(Aの4周目) | A 5→6→7→1→2→3→4 |
1/1(Bの4周目) | B 5→6→7→1→2→3→4 |
1/2(Aの5周目) | A 4→5→6→7→1→2→3 |
1/3(Bの5周目) | B 4→5→6→7→1→2→3 |
1/4(Aの6周目) | A 3→4→5→6→7→1→2 |
1/5(Bの6周目) | B 3→4→5→6→7→1→2 |
1/6(Aの7周目) | A 2→3→4→5→6→7→1 |
1/7(Bの7周目) | B 2→3→4→5→6→7→1 |
表にすると大げさですが、要はどのセクションも1〜7番目を経験するという仕組みです。
同じ順番で反復してしまうと「 I の序盤はよく覚えているけど、後半はいつも疲れておろそかになる」といった事態になりかねません。
あらかじめ上記のようなシステムを構築しておけば、なかだるみや疲労の影響が全項目でほぼ均一になります。満遍なく押さえたい人には非常にオススメです。
最後に、スタート地点がわかりやすいよう、各セクションの1ページ目に付箋を貼りました。
テスト項目選び
続いて、下準備の2つ目です。
確認テストを作って数値的な成果が出せたらいいと思い、テスト用の項目を選定してまとめました。
選定にあたっては、できるだけ偏りのないランダムになるよう工夫しました。
具体的には、各セクションの項目をランダマイズし、1セクション7項目ずつ上から取っていくという流れです。ABそれぞれ「50問 × 7回」のテストにするため、1セクションだけ8問取って微調整しています。
言葉だとわかりにくいので最終形態を図にしてみました(項目番号は3冊まとめて1〜1200としています)。重要ポイントの「カブりなくバランスよく」のイメージが伝われば幸いです。
このような流れで確認テストを作ると、どのテストでも項目がカブらず、かつ全セクションからバランスよく出題されるようになります。
以上が、チャレンジ前に進めた下準備のすべてです。
定着率ビフォーアフター
次に、学習結果(確認テストの結果)をパパッとまとめます。
結論、定着率(確認テストの正答率)は「42%から99%までアップ」しました。
7周分の定着率の推移は下図のようになります。予想以上に伸びが大きく、4周目の時点ですでに9割オーバーをマークするほどメキメキ定着しました。
ちなみに、採点時のルールは次の2つです。
- 意味をイメージできたら正解
- すでに知っていた項目は除外
「意味をイメージできる」は、日本語訳がパッと思い出せることのほか、「めっちゃ頑張ってる感じ」や「何となく危ない状態」など、正しい意味とリンクしたイメージが浮かぶことも意味します。
一方「すでに知っていた項目」は『Distinction』をやる前から“使えるレベル”で理解できていたものです。「どこかで聞いたことある」程度のものは採点対象に含めました。
下表のとおり、各テスト50問のなかから「すでに知っていた項目」を除いたうえで定着率は算出されています。
A 1周目 | B 1周目 | A 2周目 | B 2周目 | A 3周目 | B 3周目 | A 4周目 | B 4周目 | A 5周目 | B 5周目 | A 6周目 | B 6周目 | A 7周目 | B 7周目 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
知ってた項目 | 6 | 8 | 7 | 7 | 3 | 6 | 8 | 9 | 6 | 3 | 3 | 6 | 7 | 1 |
正答数 | 16 | 20 | 27 | 22 | 36 | 36 | 41 | 39 | 43 | 46 | 46 | 42 | 43 | 48 |
定着率 (%) | 36.7 (16/44) | 47.6 (20/42) | 62.8 (27/43) | 51.2 (22/43) | 76.6 (36/47) | 81.8 (36/44) | 97.6 (41/42) | 95.1 (39/41) | 97.7 (43/44) | 97.9 (46/47) | 97.9 (46/47) | 95.5 (42/44) | 100 (43/43) | 98.0 (48/49) |
以上、定着率ビフォーアフターでした。
チャレンジ中の様子
ここからは、かかった時間やチャレンジ中の工夫点についてまとめていきます。
かかった時間の変遷
各回のチャレンジにかかった時間は、下図のとおりです。
ご覧のとおり、2周目をピークに緩やかに学習時間が減少しています。
もちろん手を抜いたわけではなく、繰り返すたびに一語にかかる負担が減ったためです。
Distinctionチャレンジの基本ルールは「単語確認、意味確認、発音確認」のみなので、慣れてくると600語でも短時間(1時間以内)で1セットを終えられます。
以下では、この基本スタイルを念頭に各周でやっていたことをまとめていきますね。
やったことと工夫点
1周目:発音確認が多め
いろいろと下準備はしましたが、チャレンジが始まるまで内容には目を通しませんでした。まっさらな状態からチャレンジを開始したかったためです。
また、慣れない学習スタイルに手こずる可能性があったので、1周目は時間に余裕のある午後にトライしました(2周目以降はすべて夜です)。
とくに最初は「慣れること」と「せっせと進めること」を意識していました。
結果的にABともに90分ほどで終わったので、なかなかの滑り出しだったと思います。
振り返ってみると、1周目は「発音確認」に時間を割くことが多かったです。
たとえば「couchの発音はコウチだと思ってたけどカウチだった」や「toはタと発音しがち」など、発音記号から気づきを得ることがたくさんありました。
2〜4周目:イメージに集中
2〜4周目のポイントは「意味のイメージ」です。
発音と意味が書かれた左ページをメインに使い、自分なりに理屈をこねたり想像したりしてインプットを進めていきました。
意味のイメージでは、使用場面を想像したり感情を乗せて読んでみたり(イラッとした表情で「Don’t push it!」と唱えるなど)、頭も体もフル稼働させました。2周目で100分以上かかったのはその影響です。
リターンは大きく、4周目を終える頃にはかなり定着した実感があり、学習時間も短くなりました。
また、表現中に「somebody」や「one」が含まれる場合には、適当な代名詞をあてはめて読むのがオススメです。そのうえで私は、SheldonやPenny(ある海外ドラマのキャラクター)を脳内でイメージするという遊びもやっていました。
ドラマを見る習慣によって使用場面の想像が楽になったのは1つのアドバンテージだったと思います。
ただ、左ページの情報だけではピンとこない項目(表現と意味がまったく結びつかない場合や個々の単語の意味がわからない場合など)も少なくありません。
そういったケースでは語源や例文(訳)をチラ見して対処しました。主に3、4周目の話です。
5、6周目:スピードに執着
4周目の確認テストが好成績だったので、5周目以降は「いかにスピーディーに終わらせるか」にこだわり始めました。
これまで時間をかけていた「イメージ化」がスムーズになり、1回のチャレンジで1時間を切るようになったのがこの頃です。
記憶に残っている単語も増え、半分ほどは見出し語を見て発音しているうちに意味を思い出せるようになりました。
また、当時の私は「20分前後の海外ドラマを2、3エピソード見る」という日々を送っていました。チャレンジ5周目あたりからは、1話につき3フレーズくらい『Distinction』で新しく覚えたものが耳に入るようになったことを覚えています。
このように、チャレンジ中に海外ドラマなどに触れると聞き取れる範囲の広がりに気づけるでしょう。そしてそれに気づけた喜びによってモチベーションアップも期待できます。
気分転換しながら手軽に成長を実感できるので、チャレンジと海外ドラマを掛け合わせるのもオススメです。
7周目:アウトプット化
最後の7周目は「全編アウトプット」でした。
9割以上は定着していたので、ABともに一問一答の要領でサクサク進めました(それぞれ初回の約半分の時間で終了しました)。
とはいえ6周目にしてなお思い出せない項目もちらほらあり、それらについては今後のためにマークをつけておきました。ちなみに未習得の項目はAで11個、Bで20個でした。
なので7周目に進む段階で全体の97.4%が定着していたことになります。
最後の確認テストはAB合わせて1ミスに留まり、とてもハッピーな大団円でした。
Distinctionチャレンジ体験記・まとめ
以上、私のDistinctionチャレンジ体験記でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
まとめとして、結果のグラフを再掲します。
正直、わずか2週間でここまで学習効率がアップするとは思わなかったです。
子アヒルを一列に並べたうえで、自分の心を押しやったからこそ、最後の笑いを得られたのでしょう(Distinctionをやると意味がわかります)。
今回のチャレンジによる定着をぜひ維持したいところですが、使えるテスト項目がまだ余っていることもあり、この先はあえて1ヶ月ほど学習を放置して「忘却率」を測定する予定です。
追記:忘却実験の結果はこちらから!
それを終えたらじっくり例文や語源を読み込もうと思います。
それでは、今回はこの辺で。
That’s all for today!
さらに追記:上記の「忘却実験」後に再びチャレンジ(GWの回)に参加しました。その結果をまとめたグラフも載せておきますね。
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