こんにちは。Webライターの森です。
多読レコードは、英語の多読を続けている筆者が、半年に1回、読書データや学習効果についてまとめるコーナーです。
このたび、めでたく多読「100万語」を達成しました。
この記事では、100万語に至るまでのデータ(語数の記録、読んだ本など)や、100万語を読んで実感した「多読の効果」について書いていきます。
「これから多読を始めていきたい!」という方の参考になれば幸いです。
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※開始時点での筆者の英語力から察するに、以下の内容は「英語中級者(高校卒業レベル:TOEIC 700点前後)かつ多読ビギナー向け」の内容になると思われます。
100万語までの多読語数
まずは多読語数についてまとめます。
多読100万語までの日別データ
はじめに、多読語数の全体像がわかる日別データをグラフで示します。
多読を始めたのは2021年1月5日でした。実際に100万語を超えたのは7月7日でしたが、切りよく7月いっぱいまでの記録をまとめています。
ご覧のとおり、多読を始めてからは毎日何かしらを読んでいます。また、時期によって多読語数に増減があることもわかります。ちなみに最多記録は2月22日の18,466語でした。
次に、時期による変動の原因をグラフに書き加えてみました。それがこちらです。
1月いっぱいは駆け出しの時期で、毎日1500〜2000語くらい読んでいました。
2月と3月は春休みにあたる時期で、時間に余裕ができて多読量が増加しています(当時は学生でした)。また、2月28日にTOEICがあり、直前期はとくに多読量が増えました(本番までに30万語の多読を達成)。
すっかり習慣化したと感じたのは3月半ば以降です。気分や忙しさによって波はありますが、とくに苦もなく洋書を読めるようになりました。
6月下旬には「Kindle」端末を購入した勢いで一時的に多読量が増大しています。
7半ばからの激減は、8月末に控えた心理学検定の勉強に時間を割いたためです。
多読100万語までの月別データ
続いて、月別データを見ていきましょう。
まずは累積のデータです。どの月で何万語に到達したかがわかります。
駆け出しの1月には5万語、2月末のTOEICまでに30万語、その勢いのまま3月には50万語に到達しました。以降は安定した増加率で、7月に100万語を突破しました。
次に、各月の多読語数の合計を以下に示します。
春休みにあたる2〜3月だけで50万語以上を読むことができました。学生身分の恩恵ですね。
さらに各月の1日平均語数も算出してみました。そのグラフが以下です。
最多は2月で、ほとんどTOEIC効果です。
全体的な習慣としては、4月以降の4000語くらいの量(一般的な洋書10〜15ページ分ほど)が1日に読む量のスタンダードだといえます。
100万語までに読んだ本
ここからは、読んだ本についてまとめていきます。
18冊の読了本
まずは読み終えた本です。
読了本一覧
結論、約半年で18冊の本を読み終えることができました。
下表は、読了本の基本情報をまとめたものです(タイトルクリックでAmazon、画像クリックで楽天の商品ページに飛べます。基本、洋書はAmazonの方が品揃えがいいです)。
タイトル*(Amazonリンク)& 著者 | 表紙画像(楽天リンク) | 総語数** |
---|---|---|
01. レオナルド・ダ・ヴィンチ(L4) ミゲール・リーヴァスミクー | 012,300 語 | |
02. 旧約聖書と新約聖書の世界(L4) ニーナ・ウェグナー | 013,670 語 | |
03. スティーブ・ジョブズ・ストーリー(L4) トム・クリスティアン | 010,670 語 | |
04. ビートルズ・ストーリー(L4) ジェイク・ロナルドソン | 014,940 語 | |
05. ガンジー・ストーリー(L1) ジェイク・ロナルドソン | 008,190 語 | |
06. Factfulness Hans, Ola & Anna Rosling | 078,310 語 | |
07. アインシュタイン・ストーリー(L1) ジェイク・ロナルドソン | 009,480 語 | |
08. ザッカーバーグ・ストーリー(L5) トム・クリスティアン | 010,630 語 | |
09. 地球の歴史(L5) 西海 コエン | 013,040 語 | |
10. ビル・ゲイツ・ストーリー(L5) トム・クリスティアン | 013,400 語 | |
11. Thinking, Fast and Slow Daniel Kahneman | 168,790 語 | |
12. Learned Optimism Martin E. Seligman | 104,620 語 | |
13. Outliers Malcolm Gladwell | 080,520 語 | |
14. 10 Days to Faster Reading The Princeton Language Institute | 045,790 語 | |
15. Blink Malcolm Gladwell | 062,830 語 | |
16. The Origin of Chinese Characters 白川 静 & Alan Thwaits(訳) | 005,880 語 | |
17. Talking to Strangers Malcolm Gladwell | 077,810 語 | |
18. Unlimited Memory Kevin Horsley | ※要約版↑ | 022,140 語 |
sp** ラダーシリーズは公式の書誌情報。その他は森くん調べの概算。
ご覧のとおり、私の多読はノンフィクションがメインです。
序盤はラダーシリーズという英語学習者向けの本を、バイオグラフィー(伝記)を中心に読み進めました。
慣れてきてからは「洋書 オススメ」などで検索して興味が湧いたものを読んでいきました。自分が専攻していたこともあり、ほとんどが心理学関連の本です。
追記(2023年1月8日):経験を積んだ結果「これは読みやすい!」と自信を持ってオススメできる洋書の紹介記事を書きました。何を読んだらいいか迷っている方にピッタリな内容です。よかったらチェックしてみてください。
時期と日数
次に、上記18冊を読んでいた時期と日数についてです。まとめると下図のようになります。
基本的に、飽きないよう複数の本を並行して読んでいきました。
日数はあくまで読み始めから読了までの期間なので、1ページも読んでいない日も含まれています。とくに『Learned Optimism』は1週間以上寝かせたこともありました。
それ以外の本
めでたく読み終わった本のほか、現在も読んでいる途中の本や挫折した本もあります。
途中の本
1〜7月に読み始めて、まだ読み終えていないのは以下の2冊です。
- Atkinson & Hilgard’s Introduction to Psychology
- Influence
1冊目は『ヒルガードの心理学』として知られる心理学の教科書で、1月末から寝る前に数ページずつ読んでいます。
2冊目は『影響力の武器』というベストセラーの原書で、100万語達成の後から読み始めました。
どちらも文章量が半端じゃないので、今なお奮闘中という感じです。
追記:2021年内に、無事どちらも読み終えました(参考:多読レコード2)。
諦めた本
続いて挫折した本です。以下の2冊になります。
- The Artist’s Way
- Speed Reading with the Right Brain
1冊目は創造性を引き出す習慣についての本で、どこかのサイトで紹介されていました。テーマは魅力的でしたが、いざ読んでみると知らない単語のオンパレードで苦痛になり、序盤で挫折しました。
2冊目は速読のコツや訓練についての本です。とても読みやすかったのですが、訓練用の素材が小説ばかりで自分のニーズ(=ノンフィクションを読みたい)とのズレを感じて読むのを断念しました。
多読100万語の学習効果
ここからは多読100万語を達成して気づいたことをまとめます。
成長を実感した点
まずはプラスの効果についてです。3点あります。
一読書あたりの集中力アップ
多読を続けると、英語を読むことへの抵抗感がなくなることはもちろん、一度の読書における集中力アップも実感できました。
当初は、やさしい本でも一読書あたり1000語弱で疲れ始めていました。最近だと一般的な洋書であっても倍以上の語数をスイスイ読んでいます。また、漫然と単語を追うことも減りました。
体感として、2000〜3000語(だいたい洋書10ページ分)を無理なく読み通せるようになったのは、以下の語数に到達したタイミングでした。
- 学習者用の本:約10万語
- 一般的な洋書:約50万語
ラダーシリーズなどの「学習者用の本」については、10万語に達する頃には集中して数十ページは読めるようになりました。
若干ハードルの高い「ネイティブ向けの洋書」については、50万語あたりでそれなりの量を読めるようになりました。
基礎的な単語の認識力アップ
多読を始めるまでは「through/though」や「from/form」のような、スペルが似た単語を読み間違える癖がありました。
イメージとしては、読んでいる途中に違和感を覚え、戻ってから「あ、throughじゃなくてthoughだった」と気づくような感じです。
このような基礎的な単語の読み取りミスが、かなり減りました。
これはおそらく文脈の理解が効いているのだろうと思います。
たんに英文を逐語的に処理するのではなく、文全体の流れを把握しながら、ふさわしい単語(や品詞)を無意識に予測しながら読めているような気がします。先述の集中力アップとも関連がありそうです。
主語や前置詞の保持力アップ
最後の効果は、とくに100万語到達後に実感した変化です。
たとえば、以下の英文をご覧ください。
Transference, the tendency to express feelings toward the analyst that the client has for important people in his or her life, provides another source of interpretation.
Susan Nolen-Hoeksema, Barbara L. Fredrickson, Geoffrey R. Loftus & Christel Lutz(2015). Atkinson & Hilgard’s Introduction to Psychology. Cengage Learning.
このような長い文に遭遇しても、冒頭の主語である “Transference”(転移)を頭のなかに保持しつつ、言い換えの挿入文をよく理解し、”provides” 以降にさらりと進めるようになりました。
つまり、そこそこ長い英文であっても、冒頭の単語情報を記憶に留めながら後の文の処理を着々と進められるようになったということです。
この変化は、とくに返り読みの減少に大きく貢献していると思われます。
期待外れだった点
次に、思ったほど成長を感じなかった点を3つ挙げます。
洋書を読む速度は変わらない
ネイティブ向けの洋書を読むスピードについては、100万語を超えた現在、100wpm(1分あたり100語)ほどで停滞している気がします。
背景知識があると少しスピードアップしますが、フラットな状態で生の英語をスラスラ理解する域には達していません。
ただ、試験問題のようなコントロールされた英文となると、多読の効果は非常に大きいと思います。
たとえば、30万語に達した頃にはTOEICのリーディング問題をすべて解き切れるようになりました。それまで、最後のトリプル・パッセージは1セット解けるか解けないかという状態でした。
似たような状況の人は、多読にチャレンジする価値ありでしょう。
読むだけで語彙力は伸びない
よく話題にされる「文脈から知らない単語の意味を推測できるようになる」というのはそれなりに体感しています。
ただ、これはあくまで読書中の処理の話です。
臨機応変に文脈から単語の意味を推測できても、多読だけで「未知の単語が自分のボキャブラリーに加わる」ということはありません。
新しいボキャブラリーの獲得については、次のような流れが自然で効率的だと思います。
- 単語帳などで単語を勉強する
- 多読中にその単語に遭遇する
- テンション上がって定着する
実際、私も単語帳(パス単の準1級と1級)をコツコツ進めながら多読を進めています。勉強中には「こんなのホントに出るのかよ」と思える単語も、多読の過程でポコポコ現れるということはよくありました。もちろん、そういった単語は定着しやすいです。
固有名詞に慣れることはない
最近は、固有名詞がスピード停滞の諸悪の根源である気がしています。
著者の体験談や事例など、本来なら内容をわかりやすくするはずの部分でリズムが崩れることが多いです。
当然ながら、話が具体的になると固有名詞が頻繁に登場します。また、汎用性の低い名詞(生物名や道具名など)もよく使われがちです。
この辺をスラスラ読めるようになれば1つ上のステージに行けるのでは…と最近は考えています。
一方、数字にはかなり慣れます。金額や年号など、日本語とは違う読み方の感覚には免疫がついている昨今です。
以上が、多読100万語を達成して得た気づきです。
万能薬とまでは言えませんが、英文の処理能力アップは確かに実感できました。
多読100万語のデータと効果・まとめ
以上、「多読レコード1」でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
まとめると「約半年かけて100万語の大台に到達し、洋書レベルの3000語程度の英文をサクサク読める力がついた」という感じです。
この基礎体力を、さらなる多読体験に発展させていけたらと思います。
今後は、あまり変化のないスピードについては気にせず、単語学習と並行しつつ、学び、楽しみ、1億語くらいまで記録を続けたいです。
なお、冒頭で述べたとおり『多読レコード』は半年に1本のペースでシリーズ化しています。データや気づきの「長期的な変化」が気になる人や、一緒に多読を続けていきたい人などのお役に立てたら幸いです。
→『多読レコード』シリーズ
それでは、今回はこの辺で。
That’s all for today.
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