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【漢検1級】当て字で8点を確保する勉強戦略〜じつは隠れた法則がある〜

アイキャッチ「漢検1級の当て字対策 意外と穴場!当て字で8点を確保する戦略と法則と想像力」 漢検1級

漢検1級の熟字訓・当て字は対策すべき?

量が多すぎてやる気が出ない…。合格した人はどうやって勉強したの?

どうにか当て字パートで8点は確保したい!

 本記事では、このような疑問や要望をサポートします。

 漢検1級の当て字といえば、配点は1問1点の計10点で、動植物や人工物、国名など、多様なジャンルから出題されるトリッキーな分野です。

 ズバリ言ってしまうと、1級対策では当て字の勉強はそこまで優先度が高くありません

 実際に1級を取得した私の経験から、王道の問題集(公式の『精選演習』や各種『本試験型問題集』など)をこなせば本番レベルで6点ほどは取れるでしょう。

 ただ、合格により近づきたいのであれば安定して8点は獲得したいところです。初合格を目指す場合、安定して高得点を取れる分野があるとかなり安心できますよね。

 以上を踏まえると、当て字に特化した勉強は「本番レベルで140点くらいは取れる人」にとくにオススメです。

 ここでは、そんな「当て字」対策をガッツリ始めたい人をサポートするお役立ち情報(学習範囲や戦略について)をまとめています。

 この記事を読めば、8点を確保するための「覚えるべき当て字の実態」や「当て字を効率よく覚えるコツ」などがわかります。

 結論、『漢検 漢字辞典』の「熟字訓・当て字索引」に羅列された項目を押さえることが必要です。

 以下では、その範囲の実態や攻略法について具体的に解説していきます。

学習範囲と勉強法

 先述のとおり、1級の当て字で8点を安定させるためには『漢検 漢字辞典』の「熟字訓・当て字索引」の項目をマスターすることが必須です。

 その「熟字訓・当て字索引」には、ずらりと2,000以上の当て字が並んでいます。

 ペラペラ眺めただけでも圧倒される量で、はじめて見聞きするような新奇な単語も多いです。

 以上から、1級の当て字の困難さは以下の2点にまとめられます。

パッと見の圧倒的な量
各単語の親近感のなさ

 しかし、索引の当て字は、項目数が多いわりに覚える苦労はそこまで大きくありません。

 以下では、この事実について深く掘り下げていきます。まずは学習範囲についてです。

当て字の学習範囲の実情

 さきほど、8点確保のために覚えるべき当て字は2,000以上あると述べました。

 しかし、これは「得体の知れない当て字を2,000以上も覚えなければならない」というわけではありません。

 その根拠として、以下の3点が挙げられます。

  • すでに約300語は押さえている
  • 表記が異なるだけの項目がある
  • 新奇な当て字は約4割しかない

 以下、これら3点について詳しく解説していきますね。

すでに押さえた300語

 まずは1点目「すでに約300語は押さえている」についてです。

 本番レベルで140点ほど取れる実力の人は、市販の問題集や参考書にしっかり取り組んできたことでしょう。

 じつは、そのような人はすでに各種教材を通して約300語の1級の当て字を習得できています。つまり、全体の約15%は習得済みというわけです。

 考えてみれば当然ですが、非常にめでたい事実ですね。

表記が違うだけの項目

 次に2点目「表記が異なるだけの項目がある」についてです。

 たとえば、以下のような「表記が違うだけで別項目になっている同一の単語」が索引にはかなり多く存在します。ちなみにホトトギスは最多で、10以上の表記があります(植物のホトトギスも含む)。

  • シンガポール:新嘉坡、 星港
  • シミ(紙を食う害虫):布魚紙魚、 蠹魚
  • ホトトギス:郭公、 霍公鳥子規時鳥…

 表記が違うのに読み方が同じというのは、一見すると厄介に思えるかもしれません。

 しかしインプットやアウトプットの過程で「他にこういう表記もあったな…」と想起する回数が増えると、結果的に他の当て字よりも記憶の定着は促進されます。

 いずれにせよ、上記のようなカブり項目が多いため、単語数は見た目ほど膨大ではありません。

新奇語は全体の約4割

 最後に3点目「新奇な当て字は約4割しかない」についてです。

 そもそも索引には「昨日」や「小豆」といった簡単な当て字も混在しています。

 さらに1級レベルの当て字についても、たとえば「眉児豆インゲンマメ」や「拳螺サザエ」、「余波なごり」など、当て字の漢字表記はマイナーでも単語として馴染みのあるものは多いです。

 ちなみに私が調べて計算した個人的な「馴染みある率」は57%でした。

 これらの当て字はイメージしながら覚えられるのでとても定着しやすいです。

 なにより、「そもそも単語として知らないレベル」の当て字が全体の約4割であるというのは、覚えておくと精神的にプラスに働きそうですね。


 以上より、覚えるべき当て字の範囲のうち「得体の知れない単語」はそこまで多くないことがわかりました。

 少しだけ攻略できそうな気がしてきませんか?

 そんな気がしてきた人は、次の章で「具体的な勉強法」を解説するのでぜひ参考にしていただければと思います。

当て字の具体的な勉強法

 繰り返しになりますが、1級の当て字で8点を確保するには「熟字訓・当て字索引」にまとめられた項目をマスターするのが必須です。

 ただ、じつは1級の当て字を攻略するツールは他にも存在します。

 その1つが、「spaceplusKK」さんが運営されている『漢検1級模擬試験倉庫』というウェブサイトです。

 辞典の索引と「模擬試験倉庫」を上手に活用できれば、当て字の学習効率は飛躍的にアップします。

 以下では、これらの教材の特徴や使い方を解説していきますね。

 さきに結論を述べると、私のオススメの活用法は次のとおりです。

  • 辞典の索引:別表記の確認や意味調べ
  • 模擬試験倉庫:メイン教材として活用

 以下、それぞれについて詳しく解説していきます。

辞典の索引は索引として

 まずは『漢検 漢字辞典』の「熟字訓・当て字索引」についてです。

 構成は以下のようになっています(レイアウトは五十音順の縦書きです)。

  • 読み
  • 漢字表記
  • 本編のページ

 メリットとしては「同じ単語の別表記がひと目でわかる」という点が挙げられます。本編の掲載ページも付記されており、意味を調べるのにも便利です。

 ただ、次の3つの理由からメインの教材としてはやや不向きだと思われます。

  • 単純に目の動きに慣れない
  • 最初の文字がヒントになる
  • 同じ単語が連続で出てくる

 まず、縦書きで「読み→漢字表記」という構成なので、学習する際の目の動きが「下(漢字)から上(読み方)へ」の連続になります。

 不自然な眼球運動で余計な神経を使うことになり、挫折するリスクが大きいです。

 また、五十音順なので最初の一文字は自動的に特定できることになります。完全ランダムな本番を想定したアウトプットはできません。

 そのうえ、「胡瓜は“きゅうり”、次の黄瓜もまた“きゅうり”、さらにその次の木瓜も“きゅうり”」のように同じ単語が連続して並んでいるので、テスト的な使い方は難しいです。

 以上より、索引はあくまで索引として、別表記のチェックや意味調べに活用すべきでしょう。

 となると、覚えるためのメインの教材には何を使えばいいのでしょうか。

 そこで活躍するのが、先述の模擬試験倉庫です。

模擬試験倉庫をメインに

 模擬試験倉庫には「熟字訓・当て字」というカテゴリーの記事群があります。

 当て字対策のメインはその「熟字訓・当て字」カテゴリーで網羅されている単語をインプット&アウトプットすることです。

 以下では、その詳細や攻略のコツについて書いていきますね。

模擬試験倉庫 「熟字訓・当て字」

 模擬試験倉庫の「熟字訓・当て字」では、辞典の索引に記載された当て字が網羅的にリストアップされています。

 本番同様、構成は「漢字表記→読み方」となっていて、記事内の掲載順はランダムです(カテゴリー別なので完全なランダムではないですが、最初の文字がヒントになることはありません)。

 ちなみに、模擬試験倉庫では当て字が次の4つに分類されています。

  • 生き物
    → 全10記事、 各記事100項目(最後は95)
  • 非生物
    → 1記事のみ、 1003項目
  • 地名と国名
    → 1記事のみ、 168項目
  • 民族名と人名
    → 1記事のみ、 28項目

 とくに「生き物」については、Wikipediaへのリンクが付されていたり、見出し語にカーソルをあてるだけで読み方が表示されたりといったユーザー視点の配慮もなされています。

 そんな模擬試験倉庫のコンテンツをメインに当て字対策をすれば、本番に合わせた形でのインプットやアウトプットが可能です。

 以下では、実体験を踏まえた模擬試験倉庫の活用術について解説します。

印刷からの 「よっしゃ、やるか」

 私の場合、記事上の項目をエクセルにコピーして印刷し、1ページ200項目(50 × 4列)のリストをつくって当て字を勉強しました。

 こうすると全項目が両面印刷「5枚」ほどに集約され、ペラペラで手軽です。

 さきほどサイトの便利機能を紹介したばかりなので「結局は印刷かい!」と思った方もいるかもしれません。

 もちろん、模擬試験倉庫の記事をそのままネット上で利用するのも1つの手です。

 ただ、ペラペラの紙にすると「やるかやらないか」レベルでのハードルを格段に下げることができます。

 そのままネット上で学習する場合、着手するまでのプロセスは以下のようになりそうです。

よっしゃ、やるか!

通信機器を手元に!

サイトにアクセス!

記事をどれか選択!

いざ学習スタート!

 一方、あらかじめ印刷していたら次のような流れになるでしょう。

よっしゃ、やるか!

紙の資料を手元に!

いざ学習スタート!

 もちろん、普段から手に取りやすい状態にしておくことが大前提ですが、習慣化という観点ではこの差は非常に大きいです。

 また、他のメリットとして、印刷したものを使えば視界に学習項目以外の情報がないので集中しやすくなります。通信機器を使うと(通知などで)気が散りやすくなることは容易に想像できますね。

 つまりは、印刷することにより「始めやすく、やめにくい」仕組みができるというわけです。

 以上より、当て字の資料は印刷してペラペラの紙に変えることを強くオススメします。

 この小さな工夫で学習の頻度や精度が一段とアップするので、ぜひ試してみてください。

アウトプット反復が何より大事

 自作のリストができたら、あとは反復あるのみです。インプットやアウトプットを繰り返して修行を積んでいきましょう。

 基本的にアウトプットした方が記憶に残りやすいので、思い出す回数が多い戦略がベストです。

 オススメの学習スタイルは次の2ステップ。

  1. 時間をかけてインプット
  2. アウトプットを繰り返す

 最初は気になった言葉を調べたり、次章で解説する「規則性のチェック」や「覚え方の工夫」を実践したりと、中身のあるインプットをします。

 この段階を終えたら、読み部分を隠してテスト形式のアウトプットを繰り返していきましょう。

 コツとして、上記の2段階は1〜2ページごとに小さく実践していった方がベターです。

 そうすると「アウトプットしようと最初に戻ったら何も覚えてなかった…」という事態を防げます。

「1ページそれなりに反復したら次へ」を繰り返し、仕上げに全ページを一気に総復習するというスタイルが効率的でしょう。

 当然ながら、アウトプットを繰り返すほど勉強時間は短くなっていきます

 私の場合、インプット段階では1ページ(200語)に1時間ほど消費していた記憶があります。それでも最終的には1ページ10分前後のペースでササッとアウトプットできるようになりました。

 インプット段階はとくに時間がかかりますが、それさえ乗り越えれば一気に楽になります。

 しばしの忍耐をもってアウトプットの効果を最大化しましょう。


 以上、当て字の全体的な勉強法でした。

 上記のポイントを意識して学習を進めていけば、本番レベルで安定して8点を確保できるようになります。

当て字のプチ戦略

 ここまで、当て字の学習範囲と勉強法について解説してきました。

 ここからは、新奇な当て字も上手に記憶したり、読み方だけでも引っ張り出したりするためのプチ戦略を紹介したいと思います。

 どれも私の感覚や経験に基づくものなので、本来の成り立ちや意味を無視しているケースがほとんどです。その点をご了承のうえ、温かい目と軽い気持ちで読み進めていってください。

法則性を見出して簡単に習得

 当て字を覚えていくときには、ダメ元で法則性(=パターン)を探してみるとよいです。

 私は、思い出せるかぎり4つのパターンを発見しました。

 以下、そんなパターンを利用したちょっとしたテクニックをまとめていきます。インプットの際にぜひ意識してみてください。

1.核を見つけてポン!

 1つ目は「核を見つけてポン!」

 これは、複数の当て字が共有している同じ読みの漢字に注目するテクニックです。

 たとえば、次の3語をご覧ください。これらは「核を見つけてポン!」が通用する事例です。

  • 日雀
  • 黒布
  • 海地

「日雀」はひがらと読みます(鳥の名前です)。「四十雀しじゅうから」や「五十雀ごじゅうから」といった他の項目から「雀=から」という核を押さえると「ひがら」という読みが導きやすくなります。

「黒布」はくろめと読み、海藻の一種です。「若布わかめ和布わかめ)」や「荒布あらめ」などから「布=め」を押さえると「くろめ」という読みを導けます。

「海地」は国名のハイチです。「上海シャンハイ」から「海=ハイ」を押さえると「ハイチ」も導けますね。ちなみに「海牙」はオランダの「ハーグ」で、ここでの「海」も「ハイ」に似た音感です。

 注意点として、それぞれ「雲雀ひばり」や「阿利布オリーブ」、「海松貝みるがい」など、このテクニックが通用しない当て字も存在します。

 あくまで本番でのド忘れ防止策として意識しておくとよいでしょう。

2.分けて省いてポン!

 2つ目は「分けて省いてポン!」

 これは構成漢字を分解し、一方の読みを省略して再結合するというテクニックです。

 以下の3語では、この「分けて省いてポン!」が適用できます。

  • 山鼠
  • 山魚狗
  • 菜椿象

「山鼠」は分けるとやまねずみです。ここで「ねずみ」の「ずみ」を省略して、読み方はやまねになります。ちなみに「冬眠鼠」も「やまね」と読みます。

「山魚狗」はやま魚狗かわせみです。「かわせみ」の「かわ」を省略して、読み方はやませみです。また「魚狗」部分を別表記の「翡翠かわせみ」にした「山翡翠」も「やませみ」と読みます。

「菜椿象」は椿象かめむしです。「かめむし」の「むし」を省略して(さらに「かめ」の「か」が濁音化して)読み方はながめになります。ついでに「刺椿象」も同じ要領で「さしがめ」という読みになります。

「山魚狗」 や「菜椿象」のように、当て字のなかに当て字が含まれているマトリョーシカ的な項目も意外とあるので、ぜひ積極的に見つけ出して効率的に覚えていってください。

3.1つ読まずにポン!

 3つ目は「1つ読まずにポン!」

 これは、1字を無視して読むというテクニックです。

 以下の3語では、この「1つ読まずにポン!」が適用できます。

  • 羽隠虫
  • 紅藍花
  • 南天燭

「羽隠虫」は「虫」を無視してはねかくしと読みます。虫の名前です。

「紅藍花」は「藍」を無視してべにばなと読みます。もちろん花の名前です。

「南天燭」は「燭」を無視してなんてんと読みます。木の名前です。

 このパターンはそこまで多くないですが、簡単に覚えられるのでお得ですね。

4.漢文の要領でポン!

 最後は「漢文の要領でポン!」

 これは、漢文の書き下しのように読むというテクニックです。

 以下の3語では、この「漢文の要領でポン!」が適用できます。

  • 挙尻虫
  • 食火鶏
  • 食蟻獣

「挙尻虫」はしりあげむしです。「挙尻」を漢文の書き下しのように「しりあげ」と読むのがポイントになります。

「食火鶏」はひくいどりです。「食火」の部分が「ひくい」となります。

「食蟻獣」はありくいです。これは「1つ読まずにポン!」との合わせ技になります。「獣」を無視して「食蟻」を「ありくい」と読むというわけです。


 以上のようなパターンを自分なりに発掘すると、楽に覚えられる項目がそこそこ増えます。

 ぜひオリジナルのパターンも探してみてくださいね。

想像力を働かせて楽しく習得

 最後の最後は、聞いたこともない、パターンも何もない、どうしようもない当て字についてです。

 正直、これらはもう頑張るしかありません。

 たとえば、画像検索してイメージできるようにしたり、語呂合わせのようなものを作ったり、何度も何度も復習して定着させたり、執念の見せどころです。

 私の場合、どうしようもない当て字についてはできるだけ強烈なイメージができる面白い語呂合わせを考えて定着させていました。

 以下の3つは、そんな「想像力×語呂」を使った覚え方の一例です。画像は私の脳内イメージの再現になります。非常にくだらないですが、合格者といえどこんなもんです。


 ・鴨舌草:こなぎ(本当は草の名前)
  カモなギューンして食ってる!

鴨舌草(こなぎ)脳内イメージ画像


 ・蔓荊:はまごう(本当は木の名前)
  ツルイバラも掻い潜って横GO

蔓荊(はまごう)脳内イメージ画像


 ・当薬:せんぶり(本当は薬草の名前)
  ぶりぶり出る

当薬(せんぶり)脳内イメージ画像

 
 遊び心を最優先した、「一応こんな手もあるよ」という最後のアドバイスでした。

当て字の勉強戦略・まとめ

 以上、漢検1級「当て字」の勉強戦略でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 ポイントをまとめると、以下のようになります。

覚えるべき当て字の範囲は辞典の索引
約2,000項目のうち新奇語は4割前後
メイン教材として模擬試験倉庫を印刷
一部はパターンを意識して負担を軽減
どうしようもない項目は遊び心で対処

 これらを参考に、ぜひとも当て字パートで高得点を取って合格力を底上げしていただけたらと思います。

 なお、1級初合格へ向けた包括的な勉強法については以下の記事で詳しく解説しています。適宜ご参照ください。

 それでは。ファイト!

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