TOEICのスコアが700点台で伸び悩んでいる。ちょっと単語をやり直したい…。
手元に『金フレ』があるけど900点を超えるにはどう付き合っていくべき?
そもそも『金フレ』だけで900点オーバーに到達できるの?
本記事では、このような疑問や要望をサポートします。
TOEIC700点レベルの人は、きっと一度は「TOEICに特化した単語学習」の経験があることでしょう。
この記事では、TOEIC900点台という更なる高みへ向けた単語学習について、実体験をベースにまとめていきます。
書き手の私は、約3ヶ月の集中学習で935点を取得しました(2021年)。勉強開始前は数年前に750点(LもRも375点)を取ったまま放置した状態でした。
もちろん、単語学習は基本中の基本なので900点オーバーに直結するわけではありません。
それでも、定評のある単語帳1冊分のメンテナンスを続けることは、とくにリーディングでの処理速度の維持・向上の土台になります。ハイスコアを目指すなら見逃せないところです。
結論、ハイスコアを取るための単語学習は、定番の『金フレ』さえ持っていれば問題ありません。『金フレ』の土台があれば900点オーバーも十分可能です。
かく言う私も、かつて使っていた『金フレ』をベースにTOEIC単語の勉強を再開し、他の単語帳に手を出すことなく900点を突破できました。
スコアを底上げする『金フレ』戦略。ぜひとも参考にしていただければと思います。
単語帳「金フレ」基本情報
本題に入る前に『金フレ』について簡単にまとめておきます。
装丁と正式名称はこちらです。
収録されている単語数は1000語。
レイアウトについては、左ページに「短いフレーズ」、右ページに「見出し語や発音記号、意味など」という感じです。
また「supplement」や「short break」というおまけコーナーでは、メインの単語とは別の重要表現もまとめられています。
全コンテンツの構成はこちらです。
・メインの単語(1000語)
600点レベル:400 語
730点レベル:300 語
860点レベル:200 語
990点レベル:100 語
・その他の表現(474項目)
パート1重要語:100
注意すべき日常単語:32
部署・職業・学問名:94
前置詞・接続詞・接続副詞:40
多義語:88
定型表現:120
なお「abceed analytics」という無料アプリなどで音声を使った学習もできます。
以上、『金フレ』の基本情報でした。
金フレだけを使った勉強法
ここからは『金フレ』のみを使った勉強法について解説していきます。
まず、TOEICで700点台を取れている人はそれなりの単語力が備わっていることでしょう。
そのうえで900点台を目指そうという場合、重要なのは「メンテナンス+α」です。
ここでのメンテナンスは「全体的な復習&苦手な単語の選別」、+αは「苦手な単語の習得&他の教材での語彙増強」を意味します。
なかでも「他の教材での語彙増強」はやや特殊なので、これについては終盤で説明します(もちろん別の単語帳をやるわけではありません)。
これらを踏まえ、ここからは『金フレ』を使った2つの学習ステップを解説していきます。
- 復習&苦手な単語の選別
=メンテナンス - 苦手な単語にフォーカス
=+αの前半部
復習&苦手な単語の選別
すでに『金フレ』を持っている人も初使用の人も、まずは「一気に1、2周さらう」ことをオススメします。
このとき、メインの1000語だけでなく「パート1重要語」や「日常単語」などのおまけコーナーにもしっかり目を通しましょう。
そして何より、必ず音声を使って学習してください。
音声を使うべき理由は、次の2点です。
- テンポよく復習を進められる
- 「英→日」方向で学習できる
以下、これら2点を踏まえた学習のコツを解説していきます。
テンポよく復習すべし!
前提として、おそらく700点レベルの人は『金フレ』単語の半分ほどは覚えていることと思います。
そのような状態で1周や2周を一気にこなす場合、とくにスピードが重要です。
たとえば見出し語の横にある派生語にしょっちゅう目を向けると、1周するだけで膨大な時間がかかってしまいます(見出し語だけでもハイスコアには十分です)。
音声を使えば見出し語の「発音と意味だけ」を一定のペースで確認でき、テンポよく復習が進みます。
また、学習にかかる時間も予測できるので習慣化もしやすいです。
私の場合、音声を1.5倍速で再生して1日500語ほどのペースで総復習していました(1週間で一気に2周するスピード感です)。
「英→日」で学ぶべし!
音声を使うべき2つ目の理由は「英→日」方向で学習できるというものでした。
『金フレ』は赤シート対応の教材ですが、日本語ではなく英単語の方を消せる「日→英」仕様になっています。
一方、TOEIC(L&R)はあくまで読み聞き能力を測る試験です。英語を受信・理解する能力を試すわけなので、日本語から英語を思い出すトレーニングはあまり効率的ではありません。
そこで、音声の出番です。
音声では、一番に英単語が発音されます。なのでそこから日本語を思い出す「英→日」のアウトプット訓練が可能です。
これを利用した単語学習の流れをまとめると、次のようになります。
- 音声と同時に見出し語を見る
- 無音時に日本語訳を思い出す
- フレーズを聴きつつ口ずさむ
日本語を思い出せない単語についてはとりあえずスルーしてOKです。次に流れてくるフレーズの方に注意を切り替えます。
慣れてきた2周目あたりから思い出せなかった(または知らなかった)単語にマーキングしていきましょう。
このとき「なんとか思い出せるけどパッとは出てこない単語」にもマークしておくとよいです。少し厳しめに選別すると、以降の学習効果がアップします。
以上、「復習&苦手な単語の選別」についてでした。
なお「苦手単語の選別」については定着の基準をはっきり決めておくと効率的です。
私は「英単語から即座に日本語を思い出せるか」を定着の基準にしていました。音声を聞いてパッと意味が出てこない単語は即座にマーキングするイメージです。
参考として、当時の私の苦手単語(=マークした見出し語)の数と割合を下表に示しておきます。
600点レベル | 730点レベル | 860点レベル | 990点レベル | おまけ部分 | 総合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
マークした見出し語 | 130 | 171 | 142 | 85 | 263 | 791 |
全ての見出し語 | 400 | 300 | 200 | 100 | 474 | 1474 |
マーキングの割合 | 32.5% | 57.0% | 71.0% | 85.0% | 55.5% | 53.7% |
苦手な単語にフォーカス
ここからは、苦手単語にフォーカスした学習についてです。
選別の段階を終えたら、本番まで苦手単語の見直しだけを徹底します。
なお、ここでは音声の使用は任意です。苦手単語は飛び飛びに存在するので、音声を使うと取り組みづらくなる可能性があります。
私自身、アプリの無料版を使っていたのでカスタマイズに限界があり、テキストだけでやりました。
この段階での重要ポイントは、次の2点です。
- 赤シート以外でアウトプット
- 右ページ右半分の誘惑を無視
以下、これらについて解説していきます。
適当な紙でアウトプット!
繰り返しになりますが『金フレ』は「日→英」仕様になっています。
なので赤シートは使いません。
音声なしのアウトプット訓練には、適当な紙(しおり、メモ帳の断片など)を使いましょう。
私は、普通のしおりで日本語訳を隠して「英→日」のアウトプットをしていました。
このほか、『金フレ』は日本語訳の表記が小さいので指で隠したり気合いで見ないようにしたりすることもできます。
とにかく「英→日」の方向性を守ることができればOKです。
右ページ右半分は見ない!
「苦手単語だけの見直し」といってもそれなりに量はあります。ある程度の時短戦略が必要です。
そこで、時短テクとして、右ページ右半分(派生語や類義語など)を見ないで進めることを強くオススメします。
ハイスコアを目指している以上、細かい部分まで押さえたい!という気持ちはよくわかります。
しかし注意が散漫になると重要語が頭から抜け落ちかねません。まずは見出し語の定着を徹底すべきです(それだけで900点以上は達成できます)。
学習スタイルとしては、次の3ステップを繰り返すのがよいです。
- 右ページの見出し語をチェック
- 日本語訳を思い出せるかテスト
- 参考程度にフレーズをチェック
全体を通して、先述の総復習のテンポをイメージしながら進めるとよいでしょう。
細部の誘惑に負けないよう自制するのが最重要ポイントになります。
私の例だと、本番までに800語弱の苦手単語を上記のスタイルで2周しました。
最後に『金フレ』を使った私の単語学習データの記録を下図に示します。
ここまで偉そうに勉強法を書いてきましたが、私自身、英単語は消化不良のまま本番に臨むことになりました(データの貧困さにそれが表れていますね)。それでも大きな問題はなかったので単語学習は気楽に継続すればOKだと思います。
もちろん、単語力は大切ですが900点オーバーの決定打ではありません。
前に述べたように『金フレ』の見出し語を定着させるだけで土台としては十分なので、派生語などに目を向ける時間があるなら他のトレーニングをした方が賢明です。
「金フレ」外での語彙増強
最後に、前章の冒頭で触れた「他の教材での語彙増強」について説明します。
たびたび言及していますが、単語学習はハイスコアの土台に過ぎません。模試で解答リズムを身につけたり読むスピードを上げるトレーニングをしたり、実践的な学習の方が大事です。
なので『金フレ』から別の単語帳に移ったり、公式問題集の単語を丸暗記したりといった作業は必要ありません。
その他の教材については「使い込んでいたら自然と単語を覚えていた」という状態に持っていくのが理想です。
たとえば、私は『金フレ』以外に『でる1000』や『公式問題集』を使ってTOEIC対策をしました。前者は文法の問題集、後者は模試です。
どちらについても使い込んでいるうちに新しい語彙が自然と身についていきました。
重要なのは「目的に沿って徹底的に使い込む」こと。
文法の教材ならしっかり文法を学び、模試であればしっかり実践的なトレーニングを行いましょう。単語力アップとは無縁に思えても、この「使い込み意識」を持って教材に向き合えば初見だった単語も自然と覚えられます。
つまり『金フレ』以外の教材については「教材の目的に沿った学習が最優先で、その過程で少しボキャブラリーが増えたらラッキー」くらいの認識でいるとよいでしょう。
TOEIC金フレの使い方・まとめ
以上、『金フレ』だけを使った単語学習についてでした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
簡単にまとめると次の3点が重要ポイントです。
・総復習は音声を使ってテンポよく!
・数周したら苦手単語にフォーカス!
・他の教材の単語は成りゆきで習得!
単語学習はあまり刺激がなくて面倒に思われるかもしれません。
しかしTOEICでハイスコアを目指すなら単語力の維持・向上には注意を払うべきです。
700点台で伸び悩んでいる人は、ここで紹介したように『金フレ』と上手に付き合いつつ他の教材で実践的なトレーニングを積んでいくことを強くオススメします。
この記事の内容があなたのTOEICスコアアップに役立つことがあれば幸いです。
なお、ときおり言及している「実践的なトレーニング」については以下の記事をご参照ください。単語以外のエッセンスまで広くカバーしたまとめ記事です。
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