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Distinctionチャレンジ実験記〜1ヶ月の放置と復習の効果〜

タイトル『Distinctionチャレンジ忘却実験記』 ボキャブラリー

 こんにちは。Webライターの森です。

 年末年始にかけて挑戦した英単語帳Distinctionチャレンジ(by Atsueigo)から約1ヶ月が過ぎました。

 この記事では、チャレンジから1ヶ月にわたって学習を放置した私の「忘却の程度と復習効果」について報告したいと思います。

 簡単に前回のチャレンジの大枠を述べると、14日間で『Distinction I, II, III』を7周こなし、定着率「42%から99%へ」という学習効果が得られました(詳細は以下の記事をご参照ください)。

 以下では「一定のブランクによってどれほど定着率が低下するのか」や「一度の復習でどれほど回復するのか」など、個人的なリサーチ結果をまとめていきます。

 結論は「時間をあけた復習は大事だよ」という当然の事実になりますが、この記事をきっかけにチャレンジ完走者の復習心に火がつくことがあれば幸いです。

実験の全体像

 まず、今回の実験結果は次のとおりです。

1ヶ月の放置→定着率「約20%低下」
一度の復習→「95%以上にまで回復」
復習から1週間→「95%以上を維持」

 以下では、実践したことをざっと振り返り、結果をまとめていきます。

実践したこと

 やったことの全体像は次のとおり。ここでの「テスト」は、収録語が50問ランダムに出題される自作の確認テストのことです。同じ項目は出題されず、かつ学習範囲を満遍なくカバーできる仕組みになっています。

  1. チャレンジから1週間後にテスト
  2. チャレンジから2週間後にテスト
  3. チャレンジから1ヶ月後にテスト
  4. ↑の後すぐ復習1周
  5. 復習した翌日にテスト
  6. 復習した1週間後にテスト

 また「復習」では「単語、発音、意味の確認」を行ないました。実施日は「3」と同日です(朝にテスト→夜に復習)。

 もちろん「復習」以外では『Distinction』を使ったインプットはしていません。

結果のまとめ

 下の図が、今回の実験結果(確認テストの正答率)をグラフにしたものです。グループは対象項目1200語を前半後半に分けたものになります。

 なお、正答率は「日本語訳が思い出せた/意味をイメージできた割合」です。チャレンジ前から知っていた項目については計算から除外しています。

【Dチャレ実験記】定着率の推移グラフ

 まず、チャレンジ直後の「98.9%」の定着率から1、2週間で「91%台」まで低下しました。意外とそこまで忘却は進まないのかと思いきや、1ヶ月後には「80.9%」まで低下しました。

 1ヶ月が経った段階で復習を実施(1周)したところ、定着率は「96.8%」へと回復。その1週間後に再びテストした結果は「95.9%」で、大きな低下は見られなかったです。

 ちなみに、復習にかかった時間は以下のとおりです。

  • グループA:53分35秒
  • グループB:56分43秒

 だいたいチャレンジ6周目くらいのパフォーマンスでした。

 なお、チャレンジ直後からの細かな結果データは下表のとおりです。


7周目

直後

7周目

直後

1週間後

1週間後

2週間後

2週間後

1ヶ月後

1ヶ月後

復習直後

復習直後

復習から
1週間後

復習から
1週間後
 知ってた項目712312335111
正答数434842454544393743484549
定着率 (%)100
(43/43)
98.0
(48/49)
87.5
(42/48)
95.7
(45/47)
91.8
(45/49)
91.6
(44/48)
83.0
(39/47)
78.7
(37/47)
95.6
(43/45)
98.0
(48/49)
91.8
(45/49)
100
(49/49)
定着率は少数第二位を四捨五入。

 以上、結果のまとめでした。

考察や気づき

 ここからは、実験結果からの考察や気づきをまとめます。

 次の4点について考えてみました。

  • 定着率の安定について
    放置しても覚えていた8割に注目
  • 忘却と混同について
    取りこぼした2割の性質に注目
  • 復習の効果について
    復習による忘却率の低下に注目
  • 未定着の項目について
    そもそも未定着だった数%に注目

 以下、それぞれの考察をまとめます。

定着率が急落しなかった要因

 今回のハイライトは「1ヶ月で約20%の忘却が起こる」というものでした。

 ただ、ポジティブに考えると「1ヶ月が過ぎても約80%は記憶に残っていた」という見方もできます。

 このようにチャレンジの効果が持続した要因について、私の考察は次の3つです。

  • 徹底的反復の効果
  • 各項目の出現頻度
  • イメージ化の効果

 以下、それぞれ詳しく解説していきます。

たかが周回、されど周回

 そもそも、私が参加したDistinctionチャレンジでは「7周やる」が最優先目標でした。

 シンプルながら、一気にたくさん周回することで得られた効果は相当なものでしょう。

 また、ただ繰り返すだけでなく別日に・・・周回する」というルールもありました。睡眠を挟んで反復することは記憶の定着を助けます

 そのほか「自分なりにアレンジしたオリジナルの周回法」にも一定の効果があったかもしれません。

 この「オリジナルの周回法」とは、毎回の学習のスタート地点をずらすというものです。どの範囲でもなかだるみや疲労の影響を均質化させる自分ルールでした(詳細は体験記1へ)。

 これにより「中盤だけ定着が悪い」といった偏りがなくなり、満遍なく良質な学習ができたのだと思われます。

出現頻度の高い項目たち

 周回の効果もさることながら、普段から英語のコンテンツに接していると『Distinction』で学んだ言葉によく出会うというのも無視できません。

 私は普段から海外ドラマを見たり洋書を読んだりしています。

 『Distinction』は「ネイティブがよく使う表現を集めた単語帳」なので、普段から英語に触れる人であれば自動的にプチ復習が積み重なっていくことになります。

 この1ヶ月、私は「40分ほどの海外ドラマの視聴」と「約1万語の多読」を毎日継続してきました。ドラマの会話シーンだけでなく洋書の中でもDistinction単語はよく見られ、これまでよりも理解できる情報が増えた実感があります。

 勉強が目的でなくても、娯楽として日頃から英語に親しむことで忘却率がグッと低くなるのは想像に難くありません。

安定的なイメージ化の力

 1ヶ月後でも定着率が急落しなかった最後の要因として「イメージ化の効果」が考えられます。

 体験記にも書きましたが、チャレンジ期間中はイメージを存分に膨らませて周回していました。

 好きなドラマの登場人物を使って会話場面を想像したり、発音するときにオーバーに感情を乗せたり、多少無理しつつもイメージ化を徹底しました。

 心理学の世界では「新しい知識を既存の知識に結びつける」という手法(精緻化せいちか方略)が記憶術として有名です。

 イメージ化は、たんに「英単語と日本語訳を暗記する」のではなく「慣れ親しんだ情景や場面と結びつける」記憶法になります。

 適切な学習方略の選択は、その後の定着率キープに貢献したに違いありません。


 以上、定着率が急落しなかった(=約80%で持ちこたえた)要因の考察でした。

忘却だけでなく混同の影響も

 2つ目の考察ポイントは「忘却した約20%」についてです。

 まず、ここでの「忘却」は、確認テストで「思い出せなかった/間違えた」ことを指します。

 自信満々で違う意味をイメージするミスもあり、必ずしも20%をキレイさっぱり忘れたというわけではありません。

 事実、確認テストで失点した問題の4割ほどは「他の項目との混同」が原因でした。

 たとえば「hold」を含む表現が複数あって混同したり、「全力で頑張る」系の表現と「全てを賭ける」系の表現がゴッチャになったり、パターンはさまざまです。

 こういった混同はチャレンジの最中には目立たなかったので、ブランクの影響がとくにマイナスに作用した部分だといえます。

 単語や意味が似ている表現は、時間とともに混ざり合い、干渉し合うリスクが高まるようですね。

ほんの少しの復習効果の兆し

 3つ目の考察ポイントは「復習の効果」です。

 今回はやや見通しが甘く、1回分しか定着率を測定できませんでした。それでも若干の発見があったのでシェアしたいと思います。

 図解してみたので、以下の図(緑の部分)をご覧ください。

 下図の「チャレンジ7周目からの1週間」と「1ヶ月後の復習からの1週間」の定着率の変化を比較すると、後者の方が忘却率が低いことがわかります。

【Dチャレ実験記】定着率の推移グラフ(復習効果にフォーカス)

 基本、復習は一定の期間をあけた方が効果的です。

 なのでこの差が表すのは「時間をあけた復習による忘却率の低下」だと推測できます。

 また、見方を変えると「1ヶ月後でも一度の復習だけでチャレンジ直後の状態に回復できる」という解釈も可能です。

 そこそこ記憶が残っているうちに、一度だけでもサクッと復習するのが大事なのかもしれません。

未定着の項目は未定着のまま

 最後の考察ポイントは「チャレンジ7周目の段階で定着していなかった数%」についてです。

 体験記の終盤でも触れましたが、7周目にトライする段階でまったく覚えていない項目がいくつかありました。具体的には「11項目、20項目」の合計31項目(全体の2.6%)です。

 これらのうち、チャレンジ7周目以降のテストで出題されたのは「7項目、10項目」。正答率はそれぞれ28.6%、20.0%でした。

 要するに「チャレンジ中に定着しなかった項目の76.5%は未定着のままだった」ということです。

 当然のことですが、すぐに忘れるこれらの単語を集中的に覚え込めば、全体の定着率は底上げされ、今後の復習も楽になると予想できます。


 以上が、忘却実験から得られた考察と気づきの全容です。

 なお、今回の実験結果は被験者1名ポッキリのお遊び実験なので、真剣に受け止めすぎないようご注意ください。

今回のまとめ

 今回の持ち帰るべきことをまとめると、下図のようになります。

【Dチャレ実験記】定着率の推移まとめ

 いろいろと工夫して臨んだこともあり、あまり定着率は下がりませんでした。それでも確実にじわじわ忘れていく部分は無視できないので、定期的に復習する必要があるでしょう。

 次回のチャレンジまでソファーのジャガイモになるのは危険かもしれません。

 現状は「見出し語」と「発音記号」と「意味」を中心に表面を引っかいただけなので、これからは例文や語源の解説も楽しんでいく所存です。

 とりわけ『Distinction』には「例文に既出表現がふんだんに含まれている」という特徴があるので、今後はその辺を味わい尽くす熟読モードに入ろうと思います。

 なにより、この記事があなたの復習心に火をつけ、学習意欲を高めることがあれば幸いです。

 それでは、今回はこの辺で。
 That’s all for today!

 追記:GWに開催されたチャレンジにも参加しました。その結果のグラフをどうぞ!

【Dチャレ実験記】第2回の効果を追加した図

 

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