TOEICスコアが700点台で伸び悩んでいる。どうにか突き抜けたい!
公式問題集は「解くだけじゃダメ」とよく聞くけど、具体的に何をすればいい?
シャドーイングが気になる…。やり方や効果について知りたい!
本記事では、このような疑問や要望をサポートします。
TOEICで700点台を取れている人は、おそらく一度は『公式問題集』を使ったことがあるでしょう。
TOEICで好成績を残すための武器として『公式問題集』はあまりにも有名ですよね。
しかし同時に、そこまで使いこなせずにモヤモヤしている人も多いと思います。しっかり問題を解いて見直しもしているのに、その成果がスコアに表れないのはもどかしいものです。
そんな悩める中級者へ向けて、この記事ではTOEICで900点台へと突き抜けるためのトレーニング法、ズバリ『公式問題集』のシャドーイングについて実体験を交えて紹介したいと思います。
書き手の私は約3ヶ月の勉強により2021年2月のTOEICで935点を取得しました。勉強開始前は数年前に750点(LもRも375点)を取ったまま放置した状態でした。
今回メインで紹介するのは『公式問題集』のシャドーイングです。
先にネタバラシをすると、私は以下の動画(by 猛牛ちゃんねる)を参考にシャドーイングを実践しました。デモンストレーション付きで非常にわかりやすいので、ぜひご参照ください。
本記事を読めば、シャドーイングを中心とした『公式問題集』の使い込み方がわかります。実践に移せばリスニング力もリーディング力もぐんと上がり、スコアアップに直結すること間違いなしです。
また、私自身の学習データも公開するので、豊かなイメージとともに全体像を把握することができるでしょう。
TOEICスコアの頭打ちに悩んでいる方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
問題演習は短期集中が鉄則
シャドーイングをするには、何よりもまず「問題を解く」段階が必要です。最新版の問題集を優先的に解いていきましょう。
演習段階でとくに重要なのは「短期集中」です。
時間をかけるべきは「解いた後のトレーニング」なので、この段階はササッとこなしましょう。
短期集中で演習をこなすためには、次の2点を意識するとよいです。
- 本番と同様、2時間で1セット解く
- 解説チェックは2日以内に済ませる
まず、本番さながらに「リスニング→リーディング」のぶっ通しで解くことを強くオススメします。
2時間しっかり問題と向き合うのも訓練です。リスニング終わりの疲れた状態でリーディングに取り組む感覚は、できるだけ早く頭と体に染み込ませておきましょう。
また、採点後の「解説を読む」段階は2日ほどで終えるのがよいです。
理想は「解いた日とその翌日」の2日間。休日の範囲内でやり込むようなイメージです。シャドーイングの段階でほとんどの知識を吸収できるので、あれこれ無理に覚えようとせず軽く納得するだけで大丈夫ですよ。
ちなみに私は解説を読みつつ、パッセージ問題の解説ページにある「Words & Phrases」コーナーの知らない表現にチェックをつけていました。読むだけだと飽きてくることもあるので、最低限の手作業を加えて自分に刺激を与えるのも手です。
以上、手始めの「問題演習」のポイントでした。
参考までに、私自身の問題演習の得点(正答数)を下表に示します。結果的に使用したのは模試3セットでした。ちなみに、問題に取り組む1ヶ月前から「文法と単語に特化した勉強」もしていました。
【模試1】 12/29 | 【模試2】 1/16 | 【模試3】 2/2 | |
---|---|---|---|
リスニング | 94 | 85 | 90 |
リーディング | 83 | 78 | 85 |
リーディングの得点は塗り絵の正解も含んでいます。
シャドーイングで徹底訓練
1セット分の問題演習を終えたら、メインのシャドーイング訓練に入ります。
シャドーイングの対象は、次の4パートが王道です。
- リスニング:part3&4
- リーディング:part6&7
基本的に「まとまった文章で構成される問題」がシャドーイングの対象になります。
リーディング問題については、応募フォームや請求書などの極端に文章が少ない資料は対象外とするのが無難でしょう。
これらをざっくりパッセージ数で表すと、次のとおりです。
- リスニング:23ピッタリ
- リーディング:25くらい
リーディングの方は模試によって変動しますが、25パッセージ程度が標準的です。
参考として、私がシャドーイングしたパッセージ数のグラフを下図に示します。基本「1日4パッセージ」ほど、最終的に模試3セットに対して140のパッセージをシャドーイングに使いました。
以下では、具体的なシャドーイングの手順を「リスニング問題」と「リーディング問題」に分けて解説していきます。その後「両者に共通のポイント」についてもまとめますね。
リスニング問題の場合
まずは「リスニング問題(part3&4)」のシャドーイングについてです。
次のような流れで進めていきます。
- 音声のみでシャドーイング
- 文章も見てシャドーイング
- 一文レベルの瞬間的な暗唱
- 音声のみでシャドーイング
とくに音声を使う場面では、音声スピードに軽く負荷をかけることをオススメします(私は1.2倍速にしていました)。
スピードを上げると適度な高地トレーニングになり、本番の負担がかなり軽減されます。「標準よりは速いけど何とか追いかけられるポイント」を自分なりに探って実践してみてください。
それでは、本題のシャドーイング訓練について順を追って説明していきますね。
1.音声のみでシャドーイング
まずは音声だけを使うトレーニングです。
テキストを見ることなく、聴こえた英語を追いかけて発音します。
速度に負荷をかけていることもあり、完璧に聴き取れるパッセージはほとんどないかもしれません。それでも最大限の情報をキャッチする心構えでトライしましょう。
終了の目安は5〜10回で、「これ以上は聴き取れない!発音できない!」という限界まで繰り返すのが望ましいです。
コツは、最初の1、2回は聴くことだけに集中すること。シチュエーションや全体像を把握するだけでその後のハードルがガクッと下がります。
2.文章も見てシャドーイング
ここからはテキストも使用します。文章を見ながらシャドーイングするトレーニングです。
まず、シャドーイングする前に文章に目を通し、音声だけではピンとこなかった部分を確認していきましょう。
いざスクリプトを見ると、聴き逃しがちな固有名詞(人名や社名など)や、ほぼ発音されていない脱落部分などの存在に気づけると思います。意味がわからない部分があれば和訳を参照してもOKです。
同時に、ページ下部の「Words & Phrases」をチェックするのも有効です。聴き取れなかった未知の単語や表現を把握できます。
これらの作業を終えたらいざ、シャドーイングです。
この段階のシャドーイングは、音声を真似してテキストを読んでいくスタイルになります。
ネイティブさながらに読み上げるのはもちろん、しっかり意味を理解することも意識しましょう。
終了目安は10〜15回ほど。各文のリズム感が身につき、意味の理解を伴って読めるようになったらOKです。
3.一文レベルの瞬間的な暗唱
この段階は少し異質で、シャドーイングはしません。一文ずつの集中トレーニングです。
やることは以下の2ステップになります。
- テキストの一文を読み上げる
- 顔を上げてその文を暗唱する
まず、これまで聴いてきた音声を意識して冒頭の一文を読みます。そしてすぐに顔を上げてその文を暗唱するという流れです。意味をイメージしながらスラスラ暗唱できたら次の文へ進みます。
この一連のトレーニングを最後の文まで繰り返すのが、ここでのメインタスクです(冒頭で紹介した動画のステップ3「Read & Look up」にあたります)。
経験上、短い文は数回で済みますが、長めの一文は「20回以上」繰り返すこともあります。一番の頑張りどころかもしれません。
長い文を暗唱するコツとしては「2つの要素に分解してそれぞれを暗唱 → 両方できたら一文レベルで暗唱」という流れにすると、比較的スムーズに終えられます。
たとえば、次のような構造を持つ長めの一文は、前半と後半に分けてそれぞれを暗唱し、最後に通しで暗唱すると効率的です。
- 例1:「 〜, so …. 」
→「 〜 」と「 so …. 」
space - 例2:「 〜 名詞 that …. 」
→「 〜 名詞 」と「 名詞 that …. 」
とくに始めたての時期は長い文の暗唱にかなり苦労します。
それでも、トレーニングを続けていくと脳内で保持できる単語量が増え、少しずつ楽になっていくはずです。
この山場を乗り越えれば、大きな成長が待っていますよ。
4.音声のみでシャドーイング
上記3段階のトレーニングを終えたら、最後の仕上げに入ります。
やることは第1段階と同様、テキストを見ずに音声を追いかける「純粋なシャドーイング」です。
これまで「文章レベル」と「一文レベル」で徹底的なトレーニングがなされました。
第4段階は「トレーニングの効果を実感する段階」とも言い換えられます。
実際にやってみると、第1段階とは比べものにならないほどスムーズにシャドーイングができるようになっていることがわかります。1回目から意味を感じながらスラスラ発音できることも多いです。
終了の目安は1〜3回。つっかえることなく意味を取りながらシャドーイングできたら完了です。
私の場合、どんなにスラスラこなせても3回は繰り返していました。ただ、ここまでくると1回チェックするだけでも問題はないと思います。
以上、リスニング問題を使ったシャドーイング訓練の流れでした。
リーディング問題の場合
続いて、リーディング問題(part6&7)を使用したシャドーイングについてです。
リスニングほど段階は多くなく、全体の流れは以下のようになります。
- 単語チェック+ざっと一読
- 文章を見てシャドーイング
メインのトレーニングは第2段階です。
その際、音声は1.5倍速に設定することを強くオススメします。
これにより、約180wpm(1分あたり約180語)のスピードになるので、リーディング問題を解き終えるのに必要なスピード感に慣れることが可能です。
以上を踏まえ、それぞれの段階について解説していきます。
1.単語チェック+ざっと一読
まずは「Words & Phrases」をさらいます。
知らない単語や表現があればチェックをつけておきましょう。
それらをぼんやり把握したうえで、次はパッセージを一読します。
意味がわからない部分やピンとこない構文がなくなるよう、しっかり読んだり調べたりするのがポイントです。
ただ、基本的な文法を理解している中級者であれば和訳と照らし合わせるだけでたいていは解決すると思います。
パッセージの全体像を把握できたら、いざシャドーイングです。
2.文章を見てシャドーイング
リーディング問題のシャドーイングは非常にシンプルで、テキストを見ながら音声を追いかけて発音していきます。
重要なのは「180wpmのスピードで読む&理解する感覚」を覚えること。
リスニング問題の第2段階と同様、各文のリズム感を意識し、スピーディーに意味を理解できるようになるまで繰り返しましょう。
私の場合、1パッセージあたり20〜30回ほど繰り返しました。
パッセージの長さによって回数は変わりますが、いずれについても「全文、理解を伴ってスピーディーに読める」状態が目標です。
以上、リーディング問題を使ったシャドーイング訓練の流れでした。
最後に、ちょっとした時短テクとしてアプリの「しおり機能」の活用をご紹介します。
メールや手紙のように「冒頭に名前やアドレスが並んでいるパッセージ」は、文章に入るまでに10秒以上もかかることが多いです。あらかじめ本文の直前に「しおり」を設定すると、すぐに本文から再生できて時短になります。
たった数秒でも積み重なると大きなロスになるので、ぜひアプリの「しおり機能」を活用してみてください。
両者に共通のポイント
ここまで「リスニング問題」と「リーディング問題」のそれぞれについてシャドーイングの手順を解説してきました。
ここからは両者に共通する「トレーニング効果を高めるポイント」をご紹介したいと思います。
まとめると、次の2つです。
- 発声にできるだけ感情を乗せる
- 訓練した後もメンテナンスする
以下、これらについて詳しく説明していきます。
発声にできるだけ感情を乗せる
シャドーイング訓練はかなりストイックですが、楽しめる要素を見出せれば続けやすいです。
そこで、シャドーイングをできるだけ楽しくやるために、リスニングでは話し手、リーディングでは書き手になったつもりで「発声に感情を乗せる」ことをオススメします。
たとえば会話がメインの part3では、話者が切り替わるたびに体の向きを変えたり男女で声のトーンを変えたりすると気持ちが入ります。ズバリ、落語家スタイルです。
このほか、嬉しいお知らせは明るく読んだり残念なお知らせは落胆した感じで読んだり、「一方的な情報伝達の文章」でも感情を入れるスキは意外と多いです。
ちなみに感情を込めることは楽しむためだけでなく、文章理解にも関係しています。
感情を乗せられるということは、意味を理解しながら読めている1つの証拠ですよね。
何度も繰り返すタイプのトレーニングは作業的になって飽きやすくなります。単調さを軽減するためにも、感情表現を有効に活用して楽しく継続できるよう工夫しましょう。
訓練した後もメンテナンスする
シャドーイング訓練が終わったパッセージはそのまま放置せず、定期的にメンテナンス(=復習)するのも重要です。
「復習」といっても、文章を見ながらのシャドーイングを1回やる程度でOK。
私の場合、模試1セット分をトレーニングした後の数日間、毎日全パッセージを復習していました。
しっかり訓練してシャドーイングの負担が軽くなった状態で復習すると、使う時間も集中力も最小限で済みます。1セット分を全て復習しても40分くらいです。
せっかく極めたパッセージなので、繰り返し復習してハイスピードで英文を理解する感覚を頭と体に深く刻み込みましょう。
その感覚や経験は、本番で強大な武器になります。
以上、『公式問題集』を使ったシャドーイング訓練のポイントでした。
上記のトレーニングを徹底すれば、リスニングで聴き取れる部分が爆発的に増え、リーディングの読解スピードもグイグイ上がっていきます。
もちろん一朝一夕で効果が現れるものではありません。かなりの忍耐が必要です。しかし、だからこそ「中級から上級へ」の道が開けます。
長期的な視点を持って、着々とトレーニングを積み重ねていきましょう。
解き直しで完答のリズムを
最後に、訓練を終えた模試の「解き直し」についてまとめておきます。
ズバリ「解き直し」は、直前期に一気に取り組むのがオススメです。
新しい模試を解いて実力試しをするのもよいですが、まずはシャドーイングを極めた模試の解き直しを最優先にしてください。
すでに読み込んだ問題を解くのは、一見意味がなさそうに思えるかもしれません。
しかし「時間内に完答できるスピード感をたたき込む」という意味で、解き直しは非常に重要なプロセスです。
完答するリズムを直前期に整えておくと、本番でも適切なスピード感を維持して解き進められます。
また、どう転んでも1回目より悪い結果にはならないので、自信を持った状態で本番に臨めます。直前期にメンタルが安定するのは意外と大きなメリットですよ。
最後の最後に、私の解き直しの結果を下表に残しておきます(カッコ内は前回比です)。
【模試1】 2/17 | 【模試2】 2/20 | 【模試3】 2/23 | |
---|---|---|---|
リスニング | 100(+ 6) | 100(+15) | 97(+ 7)– |
リーディング | 199(+16) | 198(+20) | 97(+12) |
結果的にシャドーイングの対象外のパートも精度が上がり、かなりの自信を持って本番に臨むことができました。
ぜひとも最終局面では「解き直し」を徹底してくださいね。
公式問題集の使い方・まとめ
以上、シャドーイングを中心とした『公式問題集』の使い方でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ポイントをまとめると次のようになります。
・問題演習は2日ほどで終わらせる
・文章パートはシャドーイング三昧
↑ 感情を乗せてノリノリで!
メンテナンスもしっかり!
・解き直しで完答のリズムを整える
中級から上級へのぼんやりした壁を越えるのは容易ではありません。
それでも堅実にトレーニングを重ねていけば頭一つ突き抜けることはできます。
「そこそこ英語は得意なのに欲しいスコアに届かない!」という人は、ぜひとも覚悟を決めてストイックにトレーニングしましょう。
なお、以下の記事では『公式問題集』以外の学習事項について広くまとめています。900点越えのヒントがたくさん詰まっているので、興味があったら読んでみてください。
それでは。ファイト!
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